インドへ運ばれた、
と語られるエール。
今のIPAまでをたどります。
苦味と香りが、
前に出るエール。
IPAはIndia Pale Ale(インディア・ペールエール)の略です。BJCP(ビール審査員認定プログラム)の2021年版ガイドラインは、アメリカンIPAを「はっきりとホップが効いて苦い、やや強めの淡色のアメリカのエール」と説明しています。
ただしBJCPは、このカテゴリーのビールは歴史的にインドへ運ばれたものではなく、淡色でないものも多いため、カテゴリー名ではあえて「India Pale Ale」と書かないとしています。IPAという名前は、今では味のバランスで定義されるスタイル名になっています。
BJCPのIPAのカテゴリー説明を読む(英語) ↗同じ名前の中に、
いくつもの道がある。
ロンドンのエールを、
バートンの水で。
BJCPによると、IPAのもとになったのは、1700年代後半にインドへ送られるようになったロンドンの淡色の熟成用エールです。1823年には東インド会社の依頼で、サミュエル・オールソップが硫酸塩の多いバートンの水を使ってこのビールを造り直しました。「India Pale Ale」という名前が使われ始めたのは1830年ごろとされています。
インドへ運ぶために考え出されたビールだった、という話はよく語られます。しかしBJCPは、IPAがインドへ送るために発明されたとも、ほかの熟成用ビールより特別にホップが多かったとも言えない、と注意を促しています。表紙は、バートン・アポン・トレントの醸造所の風景です。
柑橘、松、
トロピカルフルーツ。
BJCPはアメリカンIPAの香りの例として、柑橘、花、松、樹脂、スパイス、トロピカルフルーツ、核果、ベリー、メロンなどを挙げています。苦味はやや高めからとても高く、後味はドライ寄り。麦芽はホップを支える脇役です。
イングリッシュIPAは、アメリカンIPAよりホップの強さが控えめで、麦芽の風味がはっきりしているとされます。ただし、これはスタイルの一般的な傾向です。使うホップや造り手の考え方で、目の前の一杯の味は大きく変わります。「IPAだから必ずこうなる」とは言えません。
ヘイジーも、
ウエストコーストも。
同じIPAにも枝分かれがあります。BJCPは、ドライでシャープに苦く、澄んだものがウエストコーストIPAと呼ばれることがあり、それはアメリカンIPAの一種だとしています。一方のヘイジーIPA(ニューイングランドIPA)は、濁った見た目と果実のような強い香り、やわらかな口当たりが特徴で、2010年代にアメリカのニューイングランド地方から人気が広がったと説明されています。
スタンプの中級カードにあるアメリカンIPA・イングリッシュIPA・ヘイジーIPAは、どれも入門カードの「IPA」の仲間として数えます。ラベルにどの名前が書いてあるかを見てみると、次の一杯を選ぶ手がかりになります。
IPA
ラベルと数字を、見てみる
次の一杯で、注目すると面白いこと。
アメリカのBrewers Association(BA)の2026年版ガイドラインでは、アメリカン・スタイルIPAのアルコール分を6.3〜7.5%、苦味の目安であるIBUを50〜70としています。ブリティッシュ・スタイルIPAは4.5〜7.1%、IBUは35〜63です。缶やラベルにIBUやホップの品種が書かれていたら、香りの印象と見比べてみてください。
BAのビアスタイル・ガイドラインを見る(英語・PDF) ↗