ポーターより、強く、黒く。

れんがの建物に挟まれた石畳の通りと、その先の黒い門(モノクロ写真)写真:Jolaus / CC0 1.0(トリミング)
スタイルを知る。 · STYLE 04

ゆかりの地 アイルランド・ダブリン

ポーターより、
強く、黒く。

スタウトというスタイルの話。

アイルランド・ダブリン、ギネスのセント・ジェームズ・ゲート醸造所の門(2024年8月)。
STYLE / PLACE / GLASS

「もっと強いポーター」が、
ひとつのスタイルに。

焙煎した麦の香りの黒いビールを、
ロンドンとダブリンからたどります。
01どんなスタイルか

コーヒーのような、
焙煎の香り。

BJCPの2021年版ガイドラインは、アイリッシュスタウトを「はっきりとした焙煎の風味を持つ黒いビールで、その風味はコーヒーに似ていることが多い」と説明しています。バランスは比較的均整のとれたものから、かなり苦いものまであります。

同じガイドラインは、ギネスの「黒く見えるが、実はとても濃いルビー色」という説明も引いています。BAのガイドラインは、ドライスタウトに特有のドライな焙煎の個性は、焙煎した大麦(ロースト・バーレイ)を使うことから生まれるとしています。

BJCPのアイリッシュスタウトの説明を読む(英語) ↗
旅のメモ

光にかざすと、
色が見えてくる。

02生まれた土地

ロンドンのポーターから、
ダブリンへ。

BJCPによると、スタウトはロンドンのポーターから発展したスタイルで、より厚みがあってクリーミーな、「stout(強い、太い)」なボディと強さを持つものでした。すべてのスタウトは、もともと「スタウト・ポーター」と呼ばれていたとも書かれています。

ギネスは1799年にポーターだけを造るようになり、1810年ごろに「より強いポーター」を造り始めました。アイリッシュスタウトは1800年代後半に、より濃い麦芽とロースト・バーレイを重視する形でロンドンのスタウトから分かれていきます。第二次世界大戦後にはフレーク状の大麦を使い始め、1959年にギネス・ドラフトが発売されたと紹介されています。表紙は、ダブリンのセント・ジェームズ・ゲート醸造所の門です。

03味わいの傾向

苦味は強いのに、
なめらか。

BJCPは、焙煎した穀物や麦芽の風味に中程度から高めの苦味が合わさり、後味はコーヒーのようにドライなものから、カラメルや麦芽の甘みが少し感じられるものまであるとしています。苦味が強く濃色の穀物を多く使うわりに、驚くほどなめらかだとも説明されています。

ただし、これはスタイルの一般的な傾向です。苦味の強さや焙煎の感じ方、後味のドライさには幅があり、造り手の解釈に委ねられているとBJCP自身が書いています。「スタウトだから必ずこうなる」とは言えません。

04造りで変わるところ

窒素の泡と、
インペリアル。

BJCPは、アイリッシュスタウトはもともと樽から注ぐドラフトの商品で、今は窒素ガスを使って注ぐことがほとんどだとしています。瓶のものには、ドラフトのようなクリーミーな泡や口当たりは期待しないように、とも書かれています。アイルランドの中でも、ダブリン型はロースト・バーレイを使ってより苦くドライ、コーク型はより甘く苦味が控えめ、という違いが紹介されています。

アルコール分が8〜12%と強いインペリアルスタウトは、1700年代に輸出用に造られた強いイングランドのポーターにルーツがあり、ロシア宮廷で好まれたと言われています。スタンプの中級カードにあるアイリッシュスタウトとインペリアルスタウトは、どちらも入門カードの「スタウト」の仲間として数えます。

05 / 次の一杯で

スタウト

色と数字を、見てみる

次の一杯で、注目すると面白いこと。

4.1–5.3%アルコール分(BA・アイリッシュ)
30–40IBU(BA・アイリッシュ)

BAの2026年版ガイドラインでは、クラシック・アイリッシュ・スタイル・ドライスタウトのアルコール分を4.1〜5.3%、苦味の目安であるIBUを30〜40としています。BJCPのインペリアルスタウトは8〜12%です。グラスを光にかざして色を見てみたり、缶・瓶で飲むときとお店で注いでもらうときの泡の違いを比べてみたりすると、スタウトの幅が見えてきます。

BAのビアスタイル・ガイドラインを見る(英語・PDF) ↗
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