写真:撮影者不明 / パブリックドメイン(日本の旧著作権法による保護期間満了)(トリミング)交配の地 新潟・上越
一万回を超える
交配の先に。
マスカット・ベーリーAという、ぶどうの話。
雪深い越後でも、
育てやすいぶどうを。
日本の黒ぶどうの話です。
「ベーリー」を母に、
マスカットを交配。
日本ワイナリー協会の紹介によると、マスカット・ベーリーAは、ラブラスカ(生食用)系ブドウの「ベーリー」を母に、ヴィニフェラ(ワイン用)系ブドウの「マスカット・ハンブルグ」を交配して作りだされた品種です。
VIVCにも、この組み合わせが遺伝マーカーで確認済みとして登録されています。交配したのは岩の原葡萄園の川上善兵衛、交配年は1927年、原産国は日本。用途はワイン用と生食用の両方とされています。
VIVCの品種データを見る(MUSCAT BAILEY A) ↗一人が重ねた交配が、
いまの畑につながる。
1890年、
越後高田に葡萄園を。
豪農の長男として生まれた川上善兵衛は、雪深い越後高田の湿潤な環境でも栽培しやすいぶどう品種をつくり、地域の発展に役立てようと考えました。1890年(明治23年)に岩の原葡萄園を起こし、明治から大正にかけて1万回を超える交配を重ね、優良な22品種を品種登録したと紹介されています。
マスカット・ベーリーAはその代表格で、赤ワイン用品種として日本で最も広く栽培されている品種とされています。表紙は、ぶどう畑に立つ川上善兵衛の古い写真です。
日本ワイナリー協会・岩の原葡萄園を読む ↗果実の香りが、
語られる品種。
マスカット・ベーリーAは、果実の香りが豊かで、渋みのおだやかな赤ワインになりやすい品種として説明されることがあります。
ただし、これは品種の一般的な傾向です。産地も造りも収穫年も違えば、仕上がりは変わります。「この品種だから必ずこうなる」とは言えません。手元の一本については、ボトルの表示と造り手の説明を確かめるのが確実です。
軽やかにも、
樽で寝かせても。
軽やかに仕上げたものから、木樽で熟成させたものまで、造り手によってスタイルはさまざまです。ロゼやスパークリングに仕立てられることもあります。
2014年6月には、甲州とマスカット・ベーリーAの品種名のOIVリストへの登録について、酒類総合研究所が山梨県ワイン酒造組合、山梨県果樹試験場とともに表彰されました。
酒類総合研究所の発表を読む ↗マスカット・ベーリーA
ラベルを、もう一度見る
次の一杯で、注目すると面白いこと。
産地はどこか。樽で熟成させているか、軽やかな仕立てか。ロゼや泡か。同じマスカット・ベーリーAでも、そこが違えば印象は変わります。飲んだ感想を記録に残しておくと、次の一本を選ぶときの目印になります。
VIVCの品種データを見る ↗